Act.6 優しさの中で














「で、これからどうするつもり?」




花沢 類があたしに問う。




「さっきはかっこいいこと言ったけどさ、
実はまだ何も決まってないの。
とりあえず学校辞めて仕事探さなきゃいけないって思うんだけど、ね。
これがなかなか見つかんなくて」






情けなさが全身を襲ったけれど
あたしは笑うことしか出来ない。






「なら、うちで働くか?牧野」


「え?」




思いもしない美作さんの言葉に
あたしはただ目を丸くする。




「いや、マジで困ってんだよ。俺も。
お袋が妹たち置いて親父のとこ行ってさ、毎日泣きまくってんの。
牧野になら懐くと思うし、俺も助かる。だからうち来いよ。
いや、来てくれ」






「俺らはさ、まあ、司が縁でこうしているけど
ここにいる奴みんな牧野個人ともダチなんだし、この際
あきらに甘えるのもいいんんじゃねぇか」




「そうですよ、牧野先輩。
それに先輩はすぐ無茶をするから美作さんのところなら
監視も出来て私たちも安心ですし。ね、優希さん」




「監視って、桜子言いすぎだよ。でもすぐ頑張りすぎちゃうから
いいかもね」




「つくし、みんなこう言ってくれてるんだし、
甘えようよ」




「優希・・・」




友人達の暖かさに涙が溢れて止まらなかった。




「牧野、そんなに泣くなよ。
あきらの話受けるだろう?」






なんでみんなこんなにも優しいのだろう?




あたしは泣きじゃくりながら
頭を縦に振ることしか出来ない。




「牧野が受けるってさ、あきら」




ありがとうって言いたいのにそれすら言葉にならない。




みんながそれぞれ慰めるように
優しく頭を叩く。


桜子や優希、滋さんが
あたしを抱きしめながら一緒に泣いてる。






あたしはこの優しさの中心で
この繋がりをこの絆を心底感謝した。




だけど、どこかで
ここにあいつがいないことに
落胆する自分がいることを申し訳なくも思っていた。








まだ何も始まってはいない
全てはこれから。


もう、甘えてばかりは
いられない。
















アトガキ


短くてスイマセン・・。次はがんばります。。。







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