何かの集会やパーティは
男共は
仕事上で自分を優位な立場にする為
女共は
着飾ってより楽に生きる為に
探り合って騙し合う
そんな場所だと思っていた。
左手に付けた腕時計が示す時間は8時が近かったと思う。
遅れて会場入りをした俺は
招待状を貰ったものの
主の顔すら知らなかった。
唯一の頼りである類を探そうと
すっかり落ち着いた雰囲気の漂う会場を
落ち着きなく見渡す。
類を探そうとする視線を邪魔するかのように
俺に気付いた奴らが
僅かにでも視界に入ろうかと
前を遮る。
周りを取り囲む奴ら一人ひとりに
苛立ちを感じ始めていた。
そんな時だった。
背後にゆっくりと近づいていたそいつに
肩に手を置かれ軽く二度、叩かれる。
「なんだ?」
苛立ちをぶつけようと
振り向いた瞬間
プスっと
頬に人差し指が刺さる。
「てめぇ・・・」
歓談する声が響く中
声を掛けてきたのは
類ではなく
滋だった。
「やぁーい、司、ひっかかってやんの」
ケタケタとおなかを抱えながら笑う。
その影から更に
少し困った顔をしながら滋を戒める女が
頭を下げる。
「お久し振りです。道明寺さん」
「桜子、お前も来てたのか」
「はい、でも道明寺さんに・・・・」
「あっきーもニッシーもいるよ」
自分を通り越して話が進むのが気に入らないのか
滋が大きな身振りで奥のほうを指しながら
割り込んできた。
「また、お前らつるんでるのか?」
「ん〜なんだかんだ言って居心地いいからねぇ・・・
今日こそいい男捕まえようって思ってたのに」
「そうそう、結局いつものメンバーで集まっちゃうから
意味がないのよね・・・」
あいつらがいる場所まで案内すると言い出した
二人を先頭にフロアを歩いて行くが
その先には
隙あらば取り入ろうとする
欲望の眼差し。
苛立ちが また 増してゆく。
「類はいねぇのか?」
「ルイ君は今日の主役のパートナーをしてて
さっきから姿が見えないんだよねぇ・・・」
類がパートナーを務めているってことは
今日の主役は女ってことだ。
それにしても
類がこういった場所に姿を出すことすら
俺より珍しいのに
パートナーを務めている、その事実の方が驚きを感じた。
「あっきー、ニッシー司が来たよん」
ぶんぶんと大きく手を振りながら二人を呼ぶ。
その声に反応したあきらが眉根を寄せこっちを見る。
「司?」
「おう」
こいつらと会うのも
随分と久し振りだ。
「司、なんでいるんだ」
「類に来いって言われたんだよ」
「類に?あいつ何考えてんだ?」
俺が来ることを知らされてなかったらしい。
総二郎は俺が来たことが
どこか不満げな感じだった。
「あきらはともかく
総二郎がこういう場所に顔を出すのはめずらしいな」
「俺らは友人として招かれているからな・・・」
「友人?」
「ちょうど来たよ、ほら」
「ルイ君、澄麗!!こっちこっち」
滋が大きな声で跳ねながら
二人を呼ぶ。
俺はゆっくり 滋の視線の先を
振り向いた――――――――――――。
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