Soul Station
「これ、なあに?」
仕舞い忘れた宝石箱を不思議そうに眺め、うさが尋ねる。
“しまった”
正直、そう思った。
「あけていい?」
「ああ」
中に4つの石があるだけだ。
別に見られて困る、そういったものがあるわけではない。
だが・・・。
「宝石?なんだかぼろぼろだねぇ」
ぼろぼろなのは仕方が無い。
それは。
俺の命を救ってくれた恩人たちそのものなのだから。
そっと手に取り光に透かしてみる。
どんなに傷ついていようと その輝きが失われることは無い。
「ねえ、なんていう石?」
「クン・・・」
クンツァイト・ゾイサイト・ネフライト・ジェダイト・・・・。
そう、言ってしまえれば簡単なことだ。
だが・・・。
彼女は気にするだろう。
かつては 敵だった者たちの名。
あまり良い思いはしないであろう。
それは、容易に想像付いた。
「これが・・・」
聞きなれない日本語での正式名称。
それにあえて言い直す。
「すごいね、まもちゃん。でもこれどうしたの?」
「思い出の品ってとこ」
・・・・・・これは うそじゃない。
本当のことを言えば、きっとうさは傷つく。
視線を落としがちの俺の表情を別の意味で捉えたのだろう。
「ご両親の形見?」
うさは遠慮がちにそう聞いてきた。
そして。
いけないことを聞いてしまった、そんな顔をした。
申し訳なさげに、寂しげに・・・。
きっと、俺も同じような顔をしているのだろう。
「そうじゃない、そうじゃないんだ」
頭をふる。
「ごめんね、いやなこと聞いちゃって」
困らせるつもりはなかった。
彼らのことを隠すつもりも・・・。
「うさ・・・」
後ろからそっと抱きしめる。
「少し時間をくれないか?必ず話すから」
「うん、待ってる・・」
今は、うさのやさしさに甘えよう。
「でも、この石たちすごいパワーを感じるね!」
「?」
「まるで生きてるみたい」
ああ、そうか。
俺は またうさを見くびっていた。
大丈夫だ。
きっと、うさなら
受け入れてくれる・・・。
今夜は彼らと話そう。
願ってやまない思いを伝えよう。
幸せを 願うからこそ・・・。
「人に戻れ」と。
彼らにも幸せになる権利はある。
それだけの力はもう戻っている。
なぁ、
クンツァイト・ゾイサイト・ネフライト・ジェダイト。
戻って来い。
魂だけでなく、その身体ごと。
アトガキ
実写の影響?