「4年後、必ず迎えに来ます」


そう言い残し、NYへと旅立って行ったあいつは
何の前触れもなく
約束の期限より半年以上も早く
突然に帰ってきた。







SAVE ME?





うだるような暑さの中
煩いのは木々に止まる蝉の鳴き声と
F3を見かけた女生徒の黄色い声だけだと思っていた。




だけど、



その日ばかりはなぜか。
慌しく走る教授方の足音に、
野太い男共の歓声が混じっていて。





一瞬、ヤーな予感がよぎったけれど、
関係ないと決め込んで
今思えば、
最後の自由を満喫してた。



テストも近いし、レポートを仕上げてしまおうと
いつものように図書館へと向かう為、
中庭をよぎろうとして・・・


そう、
ここまでは、平和だったんだ。


騒ぎの元にぶつかって
それでも、
きっとどこだかの有名人が来てるんだ・・・。
ぐらいにしか 思ってなくて、
だけど

ふっと、目に入った景色に
あの人だかりの中心に


ぽこっと 飛び出た
なんだか見覚えのある けど、
目の錯覚だと思いたくなる
あの 独特な
一度見たら忘れないであろう
くるくるアタマ・・・・。






開いた口がふさがらないって、きっとこういうこと。






「何でよ。何であんたがここにいるのよ?!」


「あ゛?!お前を迎えに来たに決まってんじゃねーか」




そうあっけなく言うと。
にやりとヤな笑みを浮かべて
つかつかと足早に寄ってきて、
あっという間に、ぬっと黒い影に覆われて
逃げるまもなく
息が止まりそうなくらいの


ディープキス


 

悲鳴と歓喜の声が木霊する中、
現状をうまく理解できなくなってたあたしは
いとも簡単に
肩に担がれ、あっという間に
人払いのされた大学のカフェテリアに運ばれて
いつの間にか さも当たり前のように
どこから現れたのかも判らぬままに
F3が同じテーブルに着く。




あたしの左側に道明寺が座って
だけど、
しっかり肩を抱かれたままで
右に
花沢類 西門さん 美作さん と陣取ってる。




花沢類が隣に座ったのをこれ幸いと
「花沢 類!!一生のお願い!助けて!!」
拝み倒すように頼むと。

あのビー玉の様な瞳をキラキラと輝かせながら
「面白そうだから、諦めて」
と、あっさり裏切られた。

無駄だとは分かっていながらも。
ゆっくりと視線を西門さんに向けた瞬間
「右に同じ」
「俺も」
美作さんまでにも同時に裏切られた。






「あんたら、血も涙もないのかよ!!」


「三人とも笑うな―――!!!鬼・悪魔・ろくでなし―――!!!」




自分を無視したやり取りに、業を煮やしたのか。
額にしっかりと青筋を立てた猛獣が一人。




神様、私は今日無事に帰れるのでしょうか・・・。





「牧野、手ぇだせ」
「いや!!」
「いいから、出せ!」
「い・や・だ!!」
おとなしくつかまってたまるものかと
頑張っては見たものの
女のあたしが
馬鹿力の道明寺に勝てるわけもなく
虚しくも左手は囚われる。



最後の審判を待つかのように
ぎゅっと目を瞑っている









なんか左手にひんやりしたものが・・・。
ま、まさか、これって・・・


恐る恐る目を開けて
正体を見た瞬間
いやな予感が、
一瞬にして悪寒に変わるのを実感した。






くらっと眩暈があたしを襲う。
だけどここで諦めちゃおしまい。



「ちょっと!人の指に何かってに付けてんのよ?!」
「ああ゛?てめっ勝手に取るんじゃねぇ!!
おい、類。牧野の右手抑えてろ!」
「花沢 類はそんなことしないよね?」

「・・・せっかく司公認で牧野の手に触れるから、無理」

無理、って花沢 類〜!!




ああ、でも
花沢 類の手ってなんでこんなに心地いい冷たさをしてるんだろうって・・・・おいっ!!
しっかりしろ!つくし!!
自分の身は自分で守るしかないんだ。

大丈夫。
きっと何とかはずすことは出来るわよ、たとえ片手だって!
希望を持つのよ、つくし!!






「司もやるねぇ。それ、ピンクダイヤだろ」
「その大きさ、カット数から時価数十億円ってとこか?」











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。











「あ、あ、あ、あんた何考えてるのよ!!
こんなの二十歳前後の人間が付けるものでも贈るものでもないでしょうが!!!」
「煩せえぇ!この俺様が、そこいらのやつらと同レベルのもん贈れっかよっ。
ちったぁ考えろ」

こいつ、絶対馬鹿に磨きがかかってる。
ああ、頭痛い。



「だ、大体あたしはあんたと結婚するなんて言ってない」
「はっ。いまさら何を言ってやがる。
まあ、お前が『道明寺』の名前に臆する気持ちや、
更に俺様の素晴らしさに磨きがかかって
手が届きにくく感じている気持ちはわからなくも ない」

「そ、そうわかってくれるんだ。・・だったら」

ここはおとなしく
こいつをおだてるなり
やんわり断るなり、引き伸ばすなり・・・・。
とにかく隙を見つけて逃げ出さなきゃ!!



「お前に2つ選択肢をやるよ」


「俺と結婚して 道明寺 つくし になるか」
「か?」
「俺様が、かっこよくは無いが、牧野 司 になるか、だ」




はああああああああああああああああぁぁぁっ??????


「べ、別にあんたに養子に来てもらわなくたって牧野家には、進っていうりっぱな
跡取りがいるの!!
大体あんたが兄になるなんて真っ平ごめんよっ」





「牧野、違うよ」
何が違うのよ、花沢 類。





「司が言ってるのは、養子縁組で兄になるって訳じゃなくてさ、」
ホンとは分かってるわよ、美作!!





だけど、口にするな、西門―――!!!
「結婚して婿養子になるってこと」



大体、何で結婚するってことが前提なのよ。
「その選択肢に、結婚しないってないの?」

「「「ない!!!」」」

花沢 類、笑うな!
こんなときだけ息の合ったと見せるな!そこの三人!!!!









「大変だろうな。道明寺グループすべての名義変更とか、手続きとか」
え?!何言ってるのよ、西門!
「牧野、その指輪じゃ足りないくらいのお金が飛んでいくよ」
は、花沢 類まで。
「さすが、世界を動かす女子大生牧野 つくし!!」
ちょっと待ってよ!美作〜〜〜!!!


「「よっ!勤労処女!!」」
声をそろえてそれをいうなぁ!!!!

「・・・ああ もう話になんない」
ほんっとに、アタマ痛い・・・。
「牧野、どっちにするの?」
「どっちって、こいつが婿養子になれるわけ無いじゃない・・・」






「よかったなぁ司、牧野が承諾したぞ」
「おめでとう、未来の道明寺夫人」
な、なんで承諾したことになってるのよ。
あたしの意思って無いわけ???


「よし、行くぞ。牧野」
「は??どこに?あたしまだ講義が・・・」
「俺たちの新居」







はいぃぃぃぃぃ????




また
あっという間に
肩に担がれて
昔と同じように
あのダックスフンドの様になっが〜い
リムジンで拉致られた。




・・・・・・・・・もう、何も言うまい。
前途多難なあたしの未来
どんどん深みにはまってる?







この先、
大丈・・・夫か?










アトガキ

眠れず、徹夜で勢いのみで書いた作品・・・。

Back