終焉〜セレニティ〜








「セレニティ 早く!!」






手を引かれながら パレスの回廊をあなたと走り抜ける。
必死に私を逃がそうとしている あなたの後姿を見ながら
このまま 時よ、止まって そう切に願った。


あと少し  あと少し  もう少し このままで―――――。


追っ手の足音に怯えながらも あなたと共にいる その安心感が不安を和らげる。




――――――神様 これが私たちへの 報い ですか?



「セレニティ、ここに隠れて いいね?」

追いつかれるのも時間の問題。
もう 逃げる場所は ない。
胸に手を当てて 荒くなった息を整える。


「ねぇ エンディミオン」

伝えなきゃ そう、思ったの。
きっと
私たちには 時間が ない――――。


「私 幸せよ? あなたと出会えてとても幸せなの・・・」

「・・・セレニティ 僕も同じ気持ちだよ」

「うれしい おんなじね」

「君を護るよ。どんなことがあっても 君だけは護る」



頬をつたう雫を 優しく拭ってくれる 大きな 暖かい手
大好きよ。
そして

甘く 切ない キス―――――――。



お願い! もう少し・・・もう少しだけ・・・・!!!




物音が次第に近づき 大きくなる。
私を抱き寄せる あなたの腕に ぐっと 力が入る。


あなたの腕の温もり 絶対 忘れたりなんてしないわ。
見上げると ホラ あなたの横顔が見える。
ずっと好きよ 
その 真剣な眼差しも・・・。


私の視線に気づいて 安心させようと 笑いかけてくれる。
その笑顔も  大好きなの。


ずっと ずっと そばにいたい―――――。


ねぇ ねぇ・・・・。
何度も 心で 呼びかける。
言いたいことは 伝えなきゃいけないことは
たくさんあるはずなのに
だけど
その先が 見つからない・・・・。






神様 神様!! お願いです!!!  どうか・・・・・・!!!!!












「エンディミオン エンディミオン・・・・!!!」


こんな 終わりを 望んでいたわけじゃ ないわ。
あなたから流れる 血が 私を 染めてゆく――――。

これが     現実?


「ねぇ 目を開けて? エンディミオン・・・・」


エンディミオン
愛しているわ
ずっとよ ずっと・・・・・。


どんなに姿が 変わろうと この気持ちだけは 変わらないわ・・・。
あなたは 私を 護ってくれた 命を賭けて・・・。
だけど
あなたのいない世界なんて イヤ よ。

私の望みは あなたと一緒に 生きることなの。



愛しているわ。



そっと あなたに近づく。


これが 最後の キス―――――――。


大好きよ ずっと ずっと・・・・。







最初は ただあの青い星に憧れていただけだったの。

どこまでも広がる青い海。
風に揺れる木々。
柔らかな日差し。

すべて 月にはないの。
美しくて きらきらしていて。

見ているだけで 幸せだった。

だけど
欲が出てしまう。
もっと もっと 近づきたい と――――――。



あの日
地球に降りなければ あなたと会うこともなかったのかもしれない。
だけど
私たちは 出会った。
恋をしたの。


初めてあなたと会った あのときのどきどきする気持ち
今も 忘れてなんて いないわ。
あなたと過ごした日々 すべてたいせつなの。



あなたに恋したこと 後悔なんてしてないわ。


愛してるわ
初めて恋した たった一人の あなた―――――。


ねぇ エンディミオン。


輪廻転生って信じる?
私は 信じているわ。
今度 生まれ変わるときは 同じ星に生まれましょう。
同じ立場で また 恋をしましょう。
きっとよ。

ねぇ エンディミオン・・・・・・・。









アトガキ

冒頭のイメージは某ゲーム初の続編。
だったと思ふ。
〜エンディミオン〜現在作成中・・・。
いつになることやら。






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