「あたし達のファーストキス 憶えている?」
その質問に彼は 答えることが 出来なかった。
キ ス
「あきれた」
突然、深夜の訪問者に開口一番 そういわれた。
いつかはこうなるとは薄々感じてはいたが、
「悪気は無かったんだよ」
言うタイミングがなかっただけ。
いや、それも悪いか・・・。
「まあ、言えないわよねぇ」
大きなため息をつきつつも
キリッと大きな瞳で睨まれると 何もいえなくなる。
しかも その瞳の色は 愛しい人と同じカラー。
まるで 彼女に見られているような錯覚に陥る。
「寝ている相手に 勝手にキスしていたなんて」
ハイ、その通りです・・・。
しかも 相手は中学生。
お互いまだ素性も明かしていない頃。
さらに言うなら
もう一度 同じこと してます・・・・。
彼女が力を使い切って
気を失った時に・・・。
好きだから いいじゃないか
そんなことが言い通る状態ではない、か。
「ルナ、うさこは怒ってる?」
「さあ、自分で確かめて見れば?」
「冷たいな」
「そうさせているのは誰?」
ハイ、俺です。
だけど、あの場で言えないだろう?
うさこを擁護する人物が揃いも揃ったあの場所で
秘密をばらすには危険すぎた。
「衛さん、どうするつもり?」
「どうするって」
「ちなみに、うさぎちゃんが思っているファーストキスっていつなの?」
「たぶん・・・」
「たぶん?」
曖昧な言い方に怪訝そうな声色で
また あの眼で軽蔑するように睨む。
言いたくなかったんだ。
「前世の記憶を取り戻したあの東京タワーでの戦いの日。
落ちて来たうさこを助けた時にされた!」
「言えないわねぇ・・・」
深いため息と共に言われた言葉には
最初と違い棘はなく
同情に似た感じようが含まれていた気がした。
アトガキ
アニメでこの話の元を見た時からいつかは書きたいと思っていました。