ひかり
ひかりが欲しい。
僕を照らしてくれる ただ一筋のひかりが・・・。
『僕は 誰? 思い・・・・出せない・・・』
6歳で全てを失った。
両親、名前、そして記憶さえも・・・・。
目覚めたとき、汚れた野球帽を手渡されながら
自分の名前が
『地場 衛』
だということを告げられた。
親戚だという伯父、両親だと告げられ見せられた
見覚えの無い家族写真――――――。
しらない、わからない。
誰も知る人のいない孤独の世界。
次第に
疑い深くなる ココロ 闇の中の世界――――――。
『―――――僕は・・・・本当に一人なんだ・・・』
寂しさの中
しだいに夢を見るようになった。
それは、暖かなひかりで
柔らかくて、優しくて、幸せで・・・そして懐かしくて
まるで何かに包まれているようなそんな気がした。
こころから落ち着く優しいひかり。
夢の中のひかりは次第に人の形を成してきた。
長く揺らぐ髪・・・・僕が掴んだ最初の手掛かり。
僕はそれを『ひかりの欠片』と呼んでいた。
昼間の僕は かぜに吹かれ、行き場の無い枯葉のように思えた。
どんなに音が溢れていても、どんなに人が傍を行きかっても
いつもこころは一人。
孤独を感じることしかできなかった。
夜は怖くは無かった。
誰もが身を沈める世界。
僕にとっては『ひかりの欠片』に会える世界。
いつか本当に現実の世界で会える気がしていた。
僕の願いか通じたのか。
『ひかりの欠片』は次第に大きくなり
そして、僕に告げる。
『幻の銀水晶を探して・・・』
そう たった一言――――――――。
――――――――――僕は ひかりが欲しかった。
中学に入ると同時に進学を理由に伯父の家を出た。
ひかりを 手に入れるために・・・。
たった一つの手掛り『幻の銀水晶』を探すために―――――。
気がつけば、夢遊病者のように夜の街を徘徊していた。
タキシードにマント、そして白いマスク――――。
自分に不思議な力があると気づいたのもこの頃だった。
『幻の銀水晶』にこだわったのは
『ひかり』のためだけではなく、
その言葉に 懐かしさと悲しさを感じていたから。
失った過去を、記憶を取り戻せる気がした。
――――――ずっと 自分が何者かを知る何かが欲しかった。
そんな時、君に出会ったんだ。
最初の印象はお互い最悪。
だけど。
何度か君に会うたび、楽しんでいる自分がいた。
曇ったこころが晴れていく・・・そんな気がしていた。
君に会うことを待ち望んでいる自分がいる。
―――――『ひかりの欠片』は次第に君に似ていった。
君がセーラームーンだと知って。
お互いの秘密を共有して・・・・過去を知って・・・・。
ずっと ずっと探していた
ずっと欲しかった『ひかりの欠片』は『光』になった。
君が どんなときでも必要としてくれる。
この俺を・・・・。
それが、何よりうれしかった。
やっと 『光』を手に入れた。
だけど。
俺は、長い間、光がある世界を知らなかった。
その無限の明るさに戸惑うこともあった。
何度も
闇が嫉妬と独占欲という形になって僕の前に現れる。
ずっと照らして欲しいという欲求を
抑えられずに困らせたこともあった。
何度も傷付けて 不安にさせて。
また 闇に引き込まれそうになって―――――。
それでも。
君は何度も俺が必要だと 傍にいることを望んでくれた。
――――俺は 君の『光』になれるだろうか?
「まーもちゃんv」
君はいつも笑ってくれる。
俺を『光』で照らしてくれる。
いつも、どんなときも。
<
それが 何より力になる。
もう 二度と失いたくは無い。
ずっと 守りたい。
俺の力で――――――。
うさの笑顔が翳らないように。
君のために 君と共にずっと ずっと・・・・。
アトガキ
自転車のイメージが強い
ホントの処女作、たぶん・・・。