DEVIL







「はるかさん・・・」




青く、大きな瞳が涙で潤む。
「ねぇ、こんなこといけないよ・・・。
やっぱり、やめよぅ・・・」


ああ、そんな目で見つめないで。
君の全てを奪い尽したくなるだろう?


「お互い同意の上だろ?そんな顔しないで。プリンセス」


制服のスカートから出た白く柔らかな腿に手を載せ
逃げ気味だった身体をそっと寄せる。


ビクンッと身体が揺れる。




「大丈夫。怖くないから」




ここは密室。
誰も入ることの出来ない僕らだけの空間。
このまま
逃げてしまおうか・・・。






「それに、衛さんともやってるんだろう?」
「ま、まもちゃんは、こんな無茶なこと、しないもん・・・」




「ホラ、力を抜いて」

こんなにも
楽しくて 快楽に満ちた行為じゃないか・・・。


「いくよ」


「ぎゃあぁぁぁぁーー!!!」


響いたのは悲痛なまでの叫び。






ぐっと力を入れる。
久し振りの感覚が
足から 手から “ソレ”に触れた場所から
幸福感が体中に駆け巡る。




・・・・・





「ホラ、だから言っただろう?僕に賭け事を持ちかけちゃダメだって
・・・って言っても聴こえないか」










あまりの恐怖に放心状態の彼女を置いて
側を離れる。


僕の姿を確認すると二人の人物が駆け寄ってきた。






「はるか、あなた今何キロ出してたの?」


厭きれた様にみちるが問う。


「さあ、200kmまでは出してないと思うけど・・・」


「少しやり過ぎじゃなくて?罰ゲームと言っても
相手は素人でしょう?」


「ちゃんと安全運転していたつもりだから平気さ」


少し青ざめた顔をした青年が
閉まったままの助手席のドアをそっと開ける。


「うさ。・・・だ、大丈夫、か?」


心配しそうに声をかける彼女の王子様によって
やっと現実にもどってきた
お姫様は
車からなだれ落ちるように降りて
ここぞとばかりに甘え始める。


「うわ〜ん。まもちゃ〜ん」


「はるかさん!!」


やっと落ち着いたお姫様は。


「こんなのドライブなんていえません!!」


青い瞳に力を取り戻し、
僕がおかしいとまでに攻め立て始める。

「言い出したのはうさぎだろ?
暇つぶしに大富豪で遊ぼうって」
「だけど」
「賭け事を持ち出したのだってそうだし、
僕だって君の(恐怖の)手料理賭けてたんだ」
「だけど!」
「十二分に手加減した結果だろ?」
「だ・け・どっ!!」
「わざわざ、借りたんだぞ?レース場」
「だ・け・どっっ!!!」
「スピードだってもっと出した方が楽しいのに」
「・・・・はるかさんのイジワル!!」
「あれじゃ、走ったうちに入らないからね」


言い合いは平行線。
負けるのは尺だけど、このまま言い合うのは
もっとごめんだ。


「何処行くのはるか?」

踵を返しもと来た道を真っ直ぐに戻る。


「もう一度走ってくる。あれじゃ、走り足りないからね」


見せ付けられた仕返しに
イジワルとまで言われた腹いせに
ほんの少し棘を含んだ言葉を投げる。


「あら、じゃあ今度は私を隣に乗せてくださる?」


「手加減しないよ」


「ええ。その方がいいわ」


勇敢なる女性は
くるりと振り返り少女の耳元に


「うさぎにはまだはるかの隣は早かったようね」


甘くささやく。


「ごきげんよう」


そこに見えたのは
美しいまでの


悪魔の微笑み。







アトガキ
まもうさにセーラー戦士を絡ませよう計画のひとつ
doaのblogにサーキット場での体験談が載っていたのでつい・・・





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