コスモスの彼方に
貴方とあたしの世界を繋ぐものと同じ名をした花が大地に揺らぐ。
貴方のいる場所と同じ名を冠した花の香が、世界を包み込む。
ほんの少し切なくなって、キュッと胸が締め付けられる思いがする。
もう、会えるはずのない貴方が、すぐ傍にいる、そんな錯覚すら憶える。
・・・・・あの時、差し出された手を取らなかったのはあたしなのに・・・。
『鈍いにも程がある』
みんなにそう言われたっけ。
だけどあの時、本当は気づいていたの。
分からない振りをしていたんだ。
あたしは、彼の手を、失うのが怖かった・・・。
『ねぇ、あたしのこと好き?どれくらい?』
『ねぇどれくらい・・・・?』
あの日、何度も彼に確認したのは、迷う自分の気持ちに歯止めを掛けるため。
少しでも揺らいだ自分の気持ちを罰するため・・・・。
ずるいんだよ、あたし。
貴方のこと失いたくなかった。
だからといって、彼の手を離すことも出来なかった。
どちらも失うことを恐れ、貴方を友達の位置に留めたの。
『いつまでも友達だよ』
そう告げて。
選択は間違ってはなかった? 本当に?
幸せだと胸を張って言える今も、今でも・・・思い出すのに。
後悔しているのだろうか?
友達として逢いたいのならきっと、みんなに笑って言える。
だけど、あたしの中にある感情はきっとどこか違うんだ。
彼を嫌いになったわけじゃない。
むしろ、愛している、その気持ちはより強くなったって言える。
それでも、あいたい、会いたい、逢いたい・・・。
来年、あたしは彼と結婚する。
誰にも言えない思いを抱えたまま・・・。
コスモスと金木犀に世界が包まれる頃にはまた、
きっとまた、貴方を思い出す。
アトガキ
あくまで、まもうさあってのうさ→星。
たまには こんなのもいいかなと。
携帯でポチポチと作っていたモノ。